何でこんなにRAID5が流行ってるんだ?

過去にRAID5でトラブルに見舞われたことのある人ならば判ると思うが、RAID5はそんなに万能じゃない。
「RAID5ケースに2TB×5台でRAID5組んじゃった〜」とか聞くと、「リビルドとかまず無理だろうな・・・」等と思ってしまう。
確かにRAID5のシステムは、読み取り速度は速いしHDD単体の故障してもデータが読み取れる素晴らしいもの。
しかし、実際に運用してみると・・・

大容量HDDのリビルドは危険

RAID5を組む際に購入するHDDは組む数を同じ時期に揃えることが多い。HDDの性能を揃えるにはこれは正しい。
だが、この後メンテナンスを何もせずに使用し続けるとHDDが故障した時に困ることが多い。
何故ならば、故障したHDDを交換してリビルドしようした時に同程度稼動している他のHDDも故障する恐れがあるからだ。
RAID5でリビルドする時には復元するデータを修復するために全てのHDDの全ての領域が連続的に長時間読み取られる。
IDEのHDD 120GB×8台でRAID5を組んでいたが、120GBのリビルドにおよそ10時間かかった覚えがある。
当時使用していたRAIDカードがハードウェアRAID5では無かったし、CPUもそれほど早いものではなかったのでそんなにリビルドに時間がかかったともいえる。
でも、単純に容量で比較すると2TBのHDDで組んだRAID5のリビルドにはおよそ160時間(約1週間)かかることになる。
故障したHDDと同程度稼動していた他のHDDを160時間も連続で読み込み動作させる事がどのくらい危険かは個人の主観によると思うが、私なら恐ろしくてそんなことは出来ない。

RAIDカード(RAIDケース)の故障

RAIDアレイを組むとHDDとRAIDインターフェース側でHDDとアレイの構成を記録する。
これが一致しなくなった時インターフェース側は異常として検知される。
この時HDDとインターフェースのどちらのデータが正しいのかをBIOS画面などで判断し、使用者が部品を交換した後データを復旧する。
HDDが壊れたのならばHDDを交換すればよいだけだが、問題はRAIDインターフェース側の故障。
普通の人が同じRAIDカード(RAIDケース)を予備品として準備していることは少ないだろうし、修理するにしても生産終了していて修理対応できない事もある。
RAIDケースの中にはBIOS等で指定せずともアレイを構築できるものがあるが、あれは故障した時どうするのだろうか?

トラブル対策

HDDの連鎖的な故障を防ぐ為、高価なRAIDシステムなら定期的にHDDを交換するような事も考えられるが、普通の人には負担が大きすぎる。
高価なRAIDカードを複数準備しておくのも難しい。
ではどうすればよいのかというと・・・定期的にデータをバックアップするしかなかったりする。
って、それじゃ何のためにRAID5にしたのか判らないじゃないか! という意見はあるだろうが、低コストでのRAID5構築はそもそも無理があるのだ。
RAID5のシステムは確かに素晴らしい。
HDD単体では諦めるしかなかったバックアップから故障するまでのデータは復旧できるメリットがある。
運がよければ故障してから用意したバックアップにデータを移しきることが出来るかもしれないし、他のHDDが故障するまでにリビルドに成功しそのまましばらく使える可能性だってある。
やはり安価なシステムの信頼性はそれなりでしかないのだ。

結局どうすればいいのか

  • まずRAID5を組む必要があるのか?
  • 本当に失いたくないデータはどのくらいあるのか?
  • そのデータの価値の分RAIDシステムに費用をかけられるのか?

以上を十分に検討して必要だと判断したら、適度な容量のRAIDアレイを構築すればよいだろう。